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住まいの形態別

平屋の家相

平居考

階層が無いぶん、中心の取り方そのものは単純になります。そのかわり、建物の外形が横に広がりやすく、欠けの出方も二階建てとは変わってきます。

この頁の話

平屋は、居室から水回りまですべてが一つの階に収まる住まいです。二階建てや三階建てのように、上下階で部屋を積み重ねる必要がなく、生活動線がワンフロアで完結します。階段を使わずに家全体を移動できるという点でも、他の住まいの形とは性格が異なります。

家相を見るうえで、平屋には二階建てとは違う特徴があります。まず、家の中心(宅心)を階ごとに考える必要がなく、建物一つの外形から中心を割り出せば足ります。上下階で部屋の配置がずれることによる複雑さが、そもそも生じません。二階建てでは1階と2階で水回りの位置がずれることもありますが、平屋ではそうしたずれ自体が起こりません。

そのかわり、平屋は延床面積を確保するために建物が横に広がる傾向があります。二階建てなら上に積める床面積を、平屋では平面上に展開する必要があるためです。この横への広がりが、外形の張り・欠けの出方に影響してきます。同じ延床面積であれば、平屋のほうが敷地に対して建物が占める割合も大きくなりやすいといえます。

なぜそう言われるのか

家相書が想定していた住まいの多くは、平屋を含む木造家屋だったと考えられています。二階建て以上の建物が一般化する以前は、平屋がむしろ標準的な形でした。その意味で、平屋は家相書の記述にもっとも近い外形の住まいだといえます。江戸期から明治期にかけて家相書が広く流布し、大工の手引きとして用いられたとされる出版事情も、当時の主流だった平屋の建て方を背景にしていたと考えられます。

『陰陽道旧記抄』
竈、門、井、厠、者家神也

江戸期の家相書に見られる建物外形の「張り・欠け」論も、平屋を含む一階建て中心の建物を念頭に組み立てられてきたと考えられます。屋根の形状がそのまま外形の輪郭になりやすい平屋では、張り・欠けの判定が二階建てより見た目にわかりやすいという特徴があります。屋根裏や小屋組みの下に部屋を設ける中二階のような形式も、平屋の延長線上として扱われることがあります。

易の八卦を方位に当てる後天定位盤の考え方も、建物の中心から8方位を割り出すという骨格そのものは平屋にそのまま当てはまります。階数による複雑さが無いぶん、家相書が示してきた基本の見方が、もっとも素直に当てはめられる住まいの形といえます。二階建て以上の住まいで生じる「階ごとの中心をどう扱うか」という論点そのものが、平屋には存在しません。

どう見るか

平屋の間取り図では、まず建物全体の外形を確認します。ワンフロアであるため、中心(宅心)は建物の輪郭から機械的に割り出すことができ、上下階の重なりを考慮する必要がありません。

次に、外形の張り・欠けを見ます。平屋は延床面積を確保するために、L字型やコの字型に建物が広がる間取りが少なくありません。角が突き出せば張り、凹めば欠けとして扱われ、二階建てより外形が複雑になる例も見られます。

玄関と水回りの位置は、二階建てと同じように中心から見た方位で確認します。ワンフロアであるぶん、玄関から水回りまでの動線が近くなりやすく、方位の重なりが目に付きやすいという特徴もあります。廊下を挟まず居室から居室へ直接つながる間取りも多く、部屋どうしの位置関係が見立てに影響しやすい点も平屋特有です。

母屋に離れや増築棟が付属する平屋では、建物全体を一つの外形として見るか、棟ごとに分けて見るかで、中心の取り方が変わってくる点にも注意が必要です。渡り廊下でつながる離れは、母屋とは別の建物として扱うべきか判断が分かれるところです。

現代の住まいでの読み替え

現代の平屋は、大きな軒(のき)を出して日差しを調整する設計が好まれる傾向があります。夏の高い日差しを遮り、冬の低い日差しを取り込むという軒の役割は、家相書が説いてきた「明るく風の通る状態を保つ」という考え方と、採光の面で通じるところがあります。軒下の空間を縁側のように使う設計も、平屋ならではの工夫として見られます。

平屋は屋根の面積が大きくなりやすく、天窓や高窓を設けて建物の中央部にも自然光を取り込む設計が増えています。ワンフロアで奥行きのある間取りでは、中心付近の部屋が暗くなりやすいという課題があり、こうした工夫が対処として採られてきました。中庭を建物の内側に設けて、四方から光を取り込む設計もよく見られます。

横に広がる外形は、庭や駐車スペースとの位置関係によって欠けが生じやすい面もあります。設計段階で外形をなるべく整った形にまとめることが、二階建て以上に平屋では意識される傾向があります。カーポートや物置を建物本体から切り離して配置することで、主屋の外形をすっきりまとめる工夫も採られています。

お手元の間取り図では、どうでしょうか

玄関の方角と、水回り・建物の外形をあわせて拝見します

間取りの写真1枚で分かります

よくある誤解

よくある誤解のひとつが、「平屋は家相的に必ず良い」という受け止め方です。階層が無く中心の取り方が単純になるのは事実ですが、延床面積を確保するために外形が複雑になりやすいという別の課題があります。単純さと欠けの少なさは、必ずしも一致しません。中心の算出が単純であることと、外形そのものが整っているかは別の話です。

逆に、「平屋は屋根が大きいから欠けが多くて悪い」と決めつけるのも言い過ぎです。屋根の形状と建物外形の張り・欠けは連動しますが、設計の工夫で整った外形にまとめることは十分に可能です。平屋そのものの良し悪しではなく、個々の間取りによって判断が変わります。正方形や長方形に近い外形でまとめられた平屋であれば、欠けの少ない間取りに収まる例も珍しくありません。

マドラバの見立てではどこまで分かるか

無料の見立てが見ている範囲

マドラバの無料の見立ては、間取り図から玄関と水回りが鬼門・裏鬼門にあたるか、建物外形に欠けがあるかを拝見しています。平屋はワンフロアのため、中心の算出は二階建てより単純です。ただし、母屋に離れや増築棟が付属する平屋では、建物全体を一つの外形として機械的に見立てており、棟ごとに中心を取り分けることはしていません。棟ごとの見立ては完全版レポートで扱う範囲になります。

完全版レポートで扱うこと

  • あなたの平屋の外形から、張り・欠けの具体的な位置を割り出して示します
  • 母屋と離れ・増築棟がある場合、棟ごとの中心の取り方を示します
  • 軒の出し方と採光の工夫を、鬼門・裏鬼門の位置とあわせて示します
  • 玄関と水回りの方位が重なる場合の読み方を丁寧に示します

準備中です。まずは無料の見立てからどうぞ。

典拠



江戸期の家相書(松浦東鶏『家相図解』ほか)に見られる建物外形の「張り・欠け」論。

易の八卦を方位に当てる考え方(後天定位盤)。北=坎、北東=艮、東=震、南東=巽、南=離、南西=坤、西=兌、北西=乾。

鎌倉期『陰陽道旧記抄』の「竈、門、井、厠、者家神也」および江戸期の家相書(松浦東鶏『家相図解』『家相大全』ほか)に見られる、門戸を鬼門・裏鬼門に忌む説。

江戸期から明治期にかけて家相書が広く流布し、大工の手引きとして用いられたとされる出版事情。

文献名までは特定していますが、原文・頁の照合は行っていません。表記を「〜に見られる」に留めているのはそのためです。

よくあるご質問

平屋は二階建てより家相的に有利なのでしょうか

中心の取り方が単純になる点では、平屋のほうが見立てやすいといえます。ただし、延床面積を確保するために外形が横に広がりやすく、L字型やコの字型になる間取りも少なくありません。有利・不利を一律に決められるものではなく、個々の外形によって変わります。単純さと欠けの少なさは別の話だと考えておくと実情に近づきます。

L字型の平屋は欠けが多いということでしょうか

L字に凹んだ部分は、家相書の張り・欠け論に照らすと欠けにあたります。ただし、欠けの方位や大きさによって扱いは変わるとされ、L字型であること自体が一律に悪いとされる記述は、ここで示す典拠には見当たりません。凹みの位置によって見立ては変わってきます。

軒を大きく出すことに家相的な意味はありますか

軒そのものを直接論じた記述は、ここで示す典拠には見当たりません。ただし、日差しを調整して明るく風の通る状態を保つという考え方は、家相書が説いてきた対処の方向性と重なります。現代の採光計画として意味づけられている面が大きいといえます。設計段階での工夫のひとつと捉えるのが実情に近いといえます。

離れがある平屋は、母屋と別に家相を見るべきですか

建物全体を一つの外形として見る方法と、母屋・離れをそれぞれ別の建物として見る方法の両方が考えられますが、家相書はどちらが正しいかを直接示していません。具体的な見立ては、棟の配置や渡り廊下の有無によって変わってきます。二世帯住宅の家相で扱う上下分離・左右分離の考え方とも重なる論点です。

案内役のイラスト

広げる。合わせる。照らす。

間取り図を広げ、方位を合わせ、古典に照らす。
あなたの一枚を、順に拝見します。

登録不要・所要 約1分

間取りの写真1枚で分かります