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家相の基礎

流派によって言うことが違う理由

異伝考

家相の本や記事を読み比べると、同じ間取りについて正反対の説明がされていることがあります。なぜ流派によって言うことが違うのか、その理由を整理します。

この頁の話

家相の本や記事を読み比べると、同じ間取りについて正反対の説明がされていることがあります。ある本では吉とされる配置が、別の本では避けるべきとされている、といった具合です。初めて家相を調べる人ほど、この食い違いに戸惑うことが多いとされます。

これは、家相が単一の体系として伝わってきたわけではないことによるとされます。江戸期以降、数多くの家相書が著され、それぞれの著者や系譜のなかで、独自の解釈や重点の置き方が育っていったとされます。ひとつの正典があって、それを写し継いできたわけではないという点が、他の分野と違うところだといえます。地域ごとに伝わり方が違ったことも、この幅を広げた一因だと考えられます。

このマドラバでは、特定の流派を正統として掲げることはしていません。玄関の鬼門忌避や三所三備のように、複数の家相書に共通して見られる考え方を中心に取り上げ、流派ごとの細部の違いにまでは立ち入らない形で解説しています。この記事では、その理由と背景を、家相書が広まっていった歴史とあわせて整理します。

なぜそう言われるのか

流派によって言うことが違う背景には、家相書が広まっていった経緯があるとされます。江戸期から明治期にかけて、家相にまつわる書物が各地で数多く出版され、大工の手引きとして用いられたとされる出版事情がありました。

当時、書物を通じて知識を得る手段は限られていました。ある地域の大工が手にした家相書と、別の地域の大工が手にした家相書が、必ずしも同じ内容だったとは限らないとされます。地域ごとに写本や版が異なり、書き手によって力点の置き方も違ったことが、記述に幅を生んだ一因と考えられます。

家相の「三所三備」という考え方ひとつを取っても、江戸期の家相書群のなかで、三所(鬼門・裏鬼門・宅の中心)に三備(竈・厠・井戸)を掛けないとする説が見られる一方、書物によって、三備の具体的な扱いや重んじる度合いには違いがあったとされます。

建物外形の張り・欠けについても同様で、江戸期の家相書には、どの程度の凹みから「欠け」と呼ぶかという線引きに幅があったとされます。同じ間取りでも、参照する書物によって、張りと見るか欠けと見るかが分かれることがあったと考えられます。こうした細部の違いは、原則そのものが対立しているというより、線引きの置き方が書物ごとに異なっていた、という性格のものだと考えられます。

どう見るか

流派による違いを踏まえて記事や本を読むときは、次のような見方が参考になるとされます。

ひとつは、複数の家相書に共通して見られる考え方かどうかを確認することです。門戸を鬼門・裏鬼門に忌む説や、三所に三備を掛けないとする説のように、複数の書物にまたがって見られる考え方は、家相のなかでも比較的広く共有されてきた考え方だといえます。

もうひとつは、断定的な言い切りに注意することです。「必ず」「絶対に」といった強い断定は、特定の流派の解釈である場合や、書き手の主張が強く出ている場合があるとされます。「〜とされる」「〜と言われてきた」という伝聞の形で語られている内容のほうが、家相書の記述に近い伝え方だといえます。断定の強さと、家相書に実際に見られる記述の幅は、必ずしも一致しないとされます。

同じ配置について異なる説明を見つけたときは、どちらが誤りかを決めようとするより、両方とも家相の歴史のなかで伝えられてきた見方のひとつだと捉えるほうが、実情に近いとされます。

現代の住まいでの読み替え

現代では、インターネット上に家相にまつわる情報が数多く公開されており、書物の時代よりもさらに多様な説明に触れる機会が増えています。

サイトや記事によって、同じ方位や配置について異なる吉凶が語られていることも珍しくありません。これは、江戸期以来の流派による違いが、そのままインターネット上にも引き継がれている面があるためだとされます。検索して最初に見つけた説明を唯一の正解だと思い込んでしまうと、別の記事を読んだときに戸惑うことになりかねません。

このマドラバでは、特定の流派をサイトの立場として固定して掲げることはしていません。玄関・水回り・建物の外形の欠けという、複数の家相書に共通して見られる範囲を中心に、典拠を添えて解説する立場を取っています。

有料の専門家鑑定を利用する場合は、担当する鑑定士によって拠って立つ流派が異なることがあります。その場合は、どの流派にもとづく見立てなのかを、都度確認できるようにしておくことが大切だとされます。同じ間取りでも鑑定士によって説明が変わるのは、こうした背景によるものだといえます。

お手元の間取り図では、どうでしょうか

玄関の方角と、水回り・建物の外形をあわせて拝見します

間取りの写真1枚で分かります

よくある誤解

家相には唯一の正しい流派があり、それ以外は誤りだ、という理解は、家相書の伝わり方を踏まえると正確ではないとされます。複数の系譜が並行して伝わってきた結果、現在のような多様な記述があるとされます。

また、このマドラバが特定の流派に立脚している、という理解も正確ではありません。複数の家相書に共通して見られる考え方を中心に取り上げているのであって、単一の流派を掲げているわけではありません。

流派によって言うことが違うからといって、家相の考え方全体を無意味だと捉える必要もないとされます。共通して伝えられてきた部分と、流派ごとに幅がある部分を見分けることが、読み方のひとつの手がかりになるとされます。家相とどこまで付き合うかという向き合い方については、別の記事で整理しています(家相をどこまで気にするか)。

マドラバの見立てではどこまで分かるか

無料の見立てが見ている範囲

マドラバの無料の見立ては、複数の家相書に共通して見られる、玄関と水回りの鬼門・裏鬼門、建物の外形の欠けという3点に絞って拝見しています。特定の流派に立脚した細かな判定基準までは採用していません。流派によって解釈が分かれる部分の詳しい見方は、無料の見立てでは扱っていません。

完全版レポートで扱うこと

  • 複数の家相書のあいだで解釈が分かれる代表的な論点の整理
  • 専門家鑑定を依頼する際に流派を確認する具体的な聞き方
  • 断定的な説明と伝聞にもとづく説明の見分け方の実例集
  • 江戸期の家相書群のあいだで見られる三所三備の扱いの違い

準備中です。まずは無料の見立てからどうぞ。

典拠



江戸期から明治期にかけて家相書が広く流布し、大工の手引きとして用いられたとされる出版事情

家相の「三所三備」(三所=鬼門・裏鬼門・宅の中心/三備=竈・厠・井戸)に三備を掛けないとする説。江戸期の家相書群(松浦琴鶴『家相一覧』天保4年 ほか)に見られる

江戸期の家相書(松浦東鶏『家相図解』ほか)に見られる建物外形の「張り・欠け」論

文献名までは特定していますが、原文・頁の照合は行っていません。表記を「〜に見られる」に留めているのはそのためです。

よくあるご質問

なぜ本によって吉凶の説明が違うのですか

江戸期以降、数多くの家相書が各地で出版され、大工の手引きとして用いられたとされます。地域や書き手によって記述に幅があったため、同じ配置について異なる説明が伝わることになったと考えられます。単一の正典を写し継いできた分野ではない、という成り立ちの違いが背景にあるとされます。

マドラバはどの流派にもとづいていますか

特定の流派を掲げてはいません。門戸を鬼門・裏鬼門に忌む説や三所三備のように、複数の家相書に共通して見られる考え方を中心に、典拠を添えて解説しています。単一の流派の解釈だけを正解として示すことはしておらず、この立場は今後も変えない方針だとご理解ください。

専門家鑑定を依頼するときは何を確認すればよいですか

担当する鑑定士によって、拠って立つ流派が異なることがあります。依頼する際には、どの流派にもとづく見立てなのかを確認しておくと、説明を受けたときに理解しやすくなるとされます。事前に確認しておけば、他の記事や本の説明と比べたときの戸惑いも減らせるとされます。

流派で説明が割れている場合、どちらを信じればよいですか

どちらが誤りかを決めようとするより、両方とも家相の歴史のなかで伝えられてきた見方のひとつだと捉えるほうが実情に近いとされます。複数の書物に共通して見られる考え方かどうかも、ひとつの目安になるとされます。断定の強さだけで判断しないことも大切だとされます。

案内役のイラスト

広げる。合わせる。照らす。

間取り図を広げ、方位を合わせ、古典に照らす。
あなたの一枚を、順に拝見します。

登録不要・所要 約1分

間取りの写真1枚で分かります