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敷地と建物の要素

駐車場・カーポート

車庫考

車を停めるスペースを確保するために建物を後退させると、外形に凹みが生まれることがあります。駐車場が建物の外形に与える影響を整理します。

この頁の話

駐車場やカーポートそのものは、家相書が直接論じてきた対象ではありません。竈・門・井戸・厠を三備として扱う記述にも、駐車場という項目は含まれておらず、車を停める場所自体の方位や吉凶を論じた記述は、ここで示す典拠には見当たりません。自動車がまだ存在しなかった時代の記述である以上、これは当然のことでもあります。

家相の観点で駐車場にかかわりが出てくるのは、駐車スペースを確保するために建物の配置がどう変わるか、という点を通じてです。敷地の一部を駐車場に充てると、建物本体はその分だけ後退したり、L字型に配置されたりすることがあります。この結果として建物の外形に生じる凹み——欠け——が、家相で確認する対象になります。

つまり、駐車場そのものは家相の判定対象ではなく、駐車場の配置によって生まれる建物の外形の変化が判定対象になる、という順序で理解する必要があります。この点は、敷地の形そのものを判定対象としない敷地の形(三角地・旗竿地)の考え方とも共通しています。判定対象がどこにあるかを取り違えると、駐車場の位置そのものを気にするという的外れな確認になってしまいます。

なぜそう言われるのか

江戸期の家相書に見られる建物外形の張り・欠け論は、建物の輪郭が方位ごとに出っ張っているか凹んでいるかを見る考え方です。この論が組み立てられた当時、自動車も駐車場も存在しなかったため、駐車スペースを理由に建物の一部が後退するという状況そのものが、想定の外にありました。

『陰陽道旧記抄』
竈、門、井、厠、者家神也

現代の住宅では、駐車場の確保が設計上の必須条件になっていることがほとんどです。特に都市部の狭小地では、駐車スペースを敷地のどこに配置するかによって、建物本体の形が大きく左右されます。矩形の敷地であっても、駐車スペースを1台分から2台分と広く取ろうとすると、建物本体を敷地の隅に寄せたり、1階部分を後退させたりする必要が出てきます。

張り・欠け論が本来対象としていたのは、建物の設計上の都合や意匠上の理由で生じる凹凸でした。駐車場を理由に生じる凹みは、当時の家相書が想定していなかった、現代特有の要因だといえます。それでも、建物の輪郭に凹みが生じているという結果そのものは、方位に照らして確認する対象になり得ます。

つまり、駐車場による欠けは、家相書が説いてきた原因(設計上の意匠や敷地の制約)とは異なる現代的な原因から生じていますが、結果として建物の輪郭に現れる凹凸という点では、古典の張り・欠け論と同じ枠組みで見ることができる、という理解になります。

どう見るか

駐車場が建物の外形に与える影響を確認する手順は、まず駐車スペースが建物本体の輪郭に含まれるかどうかを見分けることから始まります。

屋根のない青空駐車場やカーポート(柱と屋根だけの簡易な構造)は、建物本体とは別の工作物として扱われることが多く、家相で見る建物の外形には含めないのが一般的です。この場合、駐車スペース自体は欠けとして数えませんが、駐車スペースを確保するために建物本体が後退していれば、その後退した部分が欠けとして現れます。

ビルトインガレージ(建物の1階部分に車庫を組み込む形式)は、建物本体の一部として扱われます。1階の一部が駐車スペースとして開放されている場合、その階の外形は駐車スペースの分だけ凹んだ形になりやすく、上階との形の違いも含めて確認する必要があります。

具体的な手順としては、間取り図の1階部分で、駐車スペースが建物の輪郭の内側にあるか外側にあるかをまず見分け、内側であればその部分を含めた輪郭で、外側であれば駐車スペースを除いた輪郭で、8方位に照らして凹みの有無を確認します。

現代の住まいでの読み替え

現代の住宅設計では、駐車場の台数と配置が、間取り全体の制約条件になることが少なくありません。2台分の駐車スペースを確保しようとすると、建物本体の間口が狭くなり、奥行き方向に細長い形になりやすい傾向があります。

こうした形の変化は、家相の観点だけでなく、採光や通風、動線の面でも設計者が検討する要素です。駐車スペースをどこに配置するかによって、玄関へのアプローチの取り方も変わってくるため、道路付けと家相で扱う道路付けの観点ともかかわってきます。

屋根の有無による扱いの違いも、現代ならではの論点です。屋根のあるカーポートを建物に接続して設ける場合、建築基準法上の建蔽率の算入方法が屋根のない駐車場とは異なることがあり、これは家相とは別の実務上の確認事項になります。家相の観点で見るべきは、あくまで建物本体の輪郭がどう変化したかという一点です。

近年はビルトインガレージを備えた狭小住宅も増えており、1階が駐車スペースで大きく開放された構造は、上階との外形の差が特に大きくなりやすい形式だといえます。

お手元の間取り図では、どうでしょうか

玄関の方角と、水回り・建物の外形をあわせて拝見します

間取りの写真1枚で分かります

よくある誤解

駐車場・カーポートについて、いくつか誤解されやすい点があります。

まず、駐車場そのものに吉凶があるという誤解です。車を停める場所の方位を論じた記述は、ここで示す典拠には見当たりません。家相で確認するのは、駐車場を確保した結果として生じる建物本体の外形の変化です。

次に、屋根のないカーポートも欠けとして数えるという誤解です。柱と屋根だけの簡易な構造物は、多くの場合、建物本体とは別の工作物として扱われ、家相で見る建物の輪郭には含まれません。含まれるかどうかは、建物本体との接続の仕方によっても変わります。

また、ビルトインガレージは駐車場だから欠けの対象外だという誤解も見られます。ビルトインガレージは建物本体に組み込まれた構造のため、1階の外形そのものが駐車スペースの分だけ変化しており、この場合はむしろ確認すべき対象になります。

マドラバの見立てではどこまで分かるか

無料の見立てが見ている範囲

マドラバの無料の見立ては、玄関と水回りが鬼門・裏鬼門にあたるか、建物の外形に欠けがあるか、の3点を拝見しています。駐車場やカーポートそのものの位置は見ていませんが、駐車スペースを確保するために建物が後退して生じた外形の欠けは、8方位のいずれかにあたっていれば拝見できます。屋根の有無による建物本体との区別や、ビルトインガレージによる階ごとの外形差の詳しい見立ては、完全版レポートで扱う範囲になります。

完全版レポートで扱うこと

  • 駐車スペースの配置ごとに、生じやすい欠けの方位の傾向を示します
  • ビルトインガレージの階ごとの外形差を具体的に確認する手順を扱います
  • 屋根の有無で建物本体との区別が変わる境目の考え方を示します
  • 駐車台数と間取り全体の制約を両立させる配置の工夫を扱います

準備中です。まずは無料の見立てからどうぞ。

典拠



鎌倉期『陰陽道旧記抄』の「竈、門、井、厠、者家神也」および江戸期の家相書(松浦東鶏『家相図解』『家相大全』ほか)に見られる、門戸を鬼門・裏鬼門に忌む説

江戸期の家相書(松浦東鶏『家相図解』ほか)に見られる建物外形の「張り・欠け」論

江戸期から明治期にかけて家相書が広く流布し、大工の手引きとして用いられたとされる出版事情

文献名までは特定していますが、原文・頁の照合は行っていません。表記を「〜に見られる」に留めているのはそのためです。

よくあるご質問

駐車場の位置そのものに吉凶はありますか

車を停める場所の方位を論じた記述は、ここで示す典拠には見当たりません。家相で確認するのは、駐車スペースを確保した結果として建物本体の外形がどう変化したかという点です。駐車場の位置自体を気にするよりも、そこから生じる建物の輪郭の変化を確認することが実務的です。

屋根のないカーポートも欠けとして数えますか

多くの場合、柱と屋根だけの簡易な構造物は、建物本体とは別の工作物として扱われ、家相で見る建物の輪郭には含めません。ただし、駐車スペースを確保するために建物本体そのものが後退していれば、その後退した部分は欠けとして現れます。カーポートの屋根の有無だけで判断せず、建物本体の輪郭がどう変わったかを確認することが実務上の要点です。

ビルトインガレージは家相の判定対象になりますか

なります。ビルトインガレージは建物本体に組み込まれた構造のため、1階の外形が駐車スペースの分だけ変化しています。上階との形の違いも含めて、階ごとに輪郭を確認しておくことが実務上の要点です。1階だけを見て判断すると、上階に生じている欠けを見落とすことがあります。

駐車場を後から増設した場合はどう見ればよいですか

増設によって建物本体の輪郭が変わっていれば、増設後の現況を基準に確認する必要があります。増設前の図面のままでは、実際の外形と食い違ってしまいます。中古住宅で増改築がある場合の考え方は中古住宅を買うときの家相でも触れています。増設の履歴が分からない場合は、現地で建物の輪郭を直接確かめておくと確実です。

案内役のイラスト

広げる。合わせる。照らす。

間取り図を広げ、方位を合わせ、古典に照らす。
あなたの一枚を、順に拝見します。

登録不要・所要 約1分

間取りの写真1枚で分かります