敷地と建物の要素
敷地が整っていないとき、建物の外形はどう決まるのでしょうか。三角地や旗竿地を例に、敷地の形と建物の外形の関係を整理します。
一
敷地の形は、そのまま建物の外形になるわけではありません。三角形の敷地でも、建物自体は四角く設計されることが多く、敷地と建物のあいだに余白(外構や駐車スペース)が生まれます。旗竿地のように細長い通路を持つ敷地でも、建物本体は通路の先の広い部分にまとまって配置されることがほとんどです。
家相が見ているのは、この「建物の外形」であって、敷地そのものの輪郭ではありません。敷地が三角形であっても、建物が長方形に近い形で建てられていれば、家相で確認する張り欠けは建物の輪郭をもとに見ることになります。この区別を取り違えると、敷地の形だけを見て判断を誤ることになります。
このため、敷地の形そのものを見ただけでは、家相の観点からその家がどうかは分かりません。旗竿地や三角地といった敷地の条件は、建物の配置や外形を制約する要因の一つではありますが、最終的に確認すべきは、その制約のなかでどう建物が形づくられたかという結果のほうです。不動産情報で敷地の形だけを見て早合点せず、間取り図まで確認する姿勢が実務上の要点になります。
二
江戸期の家相書に見られる建物外形の「張り・欠け」論は、建物そのものの輪郭を対象にしています。当時の家づくりでは、敷地の形が今日ほど細分化されておらず、比較的まとまった土地に建物を配置することが多かったと考えられます。
現代の宅地は、都市部を中心に細かく分割されており、三角地や旗竿地のような整形でない敷地が珍しくありません。旗竿地は、道路に接する部分が狭い通路状になり、奥に建物を建てる敷地の形です。分譲や相続によって元の土地が分割される過程で生まれることが多いとされます。三角地は、道路が交差する角や、区画整理の境目にできやすい敷地の形です。
家相書が書かれた時代には、こうした細分化された敷地を前提にした記述は多くありません。旗竿地や三角地そのものの吉凶を直接論じた記述は、ここで示す典拠には見当たらず、あくまで「建物の外形がどうであるか」という、張り・欠け論の枠組みのなかで読み解くことになります。細分化された敷地という現代の事情は、古典が積み重ねられた時代には想定されていなかったわけです。
つまり、敷地の形が特殊であること自体を家相の対象として語るのではなく、その敷地条件のもとでどのような建物の外形が生まれたかを見る、という順序で捉える必要があります。
三
敷地の形が整形でない場合、建物の外形を確認する手順は次のようになります。
まず、敷地の輪郭と建物の輪郭を分けて把握します。不動産の図面には敷地の測量図と建物の間取り図が別々に添付されていることが多く、家相で見るのは間取り図のほうの輪郭です。
旗竿地の場合、通路部分は駐車スペースや玄関へのアプローチとして使われることが多く、建物本体の外形には含まれません。建物本体の輪郭だけを取り出し、方位盤に重ねて張り欠けを確認します。
三角地の場合は、敷地の隅にあたる鋭角の部分に、建物を四角く納めるための余白(庭や外構)が生じやすくなります。建物の輪郭が四角に近ければ、家相で見る欠けは生じにくく、逆に敷地の形に合わせて建物の一部を斜めに削るような設計であれば、その削られた部分が欠けとして現れることがあります。
図面が手元にある場合は、間取り図の建物輪郭だけを見て、8方位に照らして凹んでいる場所がないかを確認する、という手順になります。測量図と間取り図を並べて見比べると、敷地の輪郭と建物の輪郭がどこでずれているかがはっきりします。
四
現代の住宅設計では、旗竿地や三角地であっても、建物本体はできるだけ整形に近づけて設計されることが一般的です。設計者は構造の合理性やコストの面からも、複雑な形の建物より単純な形を選びやすい傾向があります。
このため、敷地が特殊な形であっても、建物の外形自体は比較的シンプルにまとまっているケースが少なくありません。敷地の形を見て家相的に問題がありそうだと早合点する前に、実際の建物の輪郭を確認することが、現代の住まいでは特に大切になります。
旗竿地の通路部分は、駐車スペースや自転車置き場として使われることが多く、この使い方については駐車場・カーポートで別に扱っています。通路の位置と玄関の位置の関係は、敷地の形というより道路付けの話に近く、道路付けと家相の観点にもかかわります。
敷地の形による制約のなかで、設計者がどのように建物の外形を工夫しているかは、物件によって差が大きい部分です。同じ旗竿地でも、通路の向きや幅、建物の配置次第で、見えてくる張り欠けはまったく違ったものになります。
五
敷地の形について、いくつか誤解されやすい点があります。
もっとも多いのは、旗竿地や三角地そのものが家相的に良くない、という決めつけです。家相書が対象にしているのは建物の外形であり、敷地の輪郭そのものの吉凶を論じた記述は、ここで示す典拠には見当たりません。
次に、敷地が整形でなければ建物も必ず歪な形になる、という誤解です。実際には、設計の工夫によって敷地の形と建物の外形は一致しないことが多く、敷地が三角形でも建物は四角く納められている例が多く見られます。
また、旗竿地の通路部分を欠けとして数える誤解も見られます。家相で見る建物の外形は建物本体の輪郭であり、駐車や通路に使う敷地の余白は、原則として建物の外形には含まれません。敷地の見た目の印象だけで判断せず、建物の輪郭を確認することが大切です。
六
無料の見立てが見ている範囲
マドラバの無料の見立ては、玄関と水回りが鬼門・裏鬼門にあたるか、建物の外形に欠けがあるか、の3点を拝見していますが、敷地そのものの形は読み取っていません。旗竿地の通路や三角地の隅といった敷地の輪郭ではなく、あくまで間取り図に描かれた建物の輪郭から、張り・欠けを確認しています。敷地条件から建物の外形がどう工夫されたかを詳しく読み解く部分は、完全版レポートで扱う範囲になります。
七
準備中です。まずは無料の見立てからどうぞ。
八
江戸期の家相書(松浦東鶏『家相図解』ほか)に見られる建物外形の「張り・欠け」論
易の八卦を方位に当てる考え方(後天定位盤)。北=坎、北東=艮、東=震、南東=巽、南=離、南西=坤、西=兌、北西=乾
江戸期から明治期にかけて家相書が広く流布し、大工の手引きとして用いられたとされる出版事情
文献名までは特定していますが、原文・頁の照合は行っていません。表記を「〜に見られる」に留めているのはそのためです。
九
敷地の輪郭そのものの吉凶を論じた記述は、ここで示す典拠には見当たりません。家相書が対象にしているのは建物の外形です。三角地や旗竿地であっても、建物本体が四角く納められていれば、家相で見る張り欠けが生じにくいこともあります。敷地の形だけで判断せず、実際の間取り図を確認することが大切です。
原則として数えません。家相で確認する建物の外形は建物本体の輪郭であり、通路や駐車スペースとして使う敷地の余白は含まれません。ただし通路の位置によって玄関の方位が決まる関係はあるため、道路付けと家相の観点とあわせて確認しておくと、見立ての材料が増えます。
家相で見るのは間取り図に描かれた建物の輪郭です。測量図は敷地の境界を示すもので、建物の外形とは別の情報になります。不動産会社から資料を受け取る際は、両方を混同せず、建物の輪郭だけを取り出して方位に照らすことが実務上の要点です。両方の図面がそろっていれば、見比べることで敷地の制約と建物の工夫の関係も見えてきます。
設計上、建物を四角く納めるために生じる余白であることが多く、庭や外構として使われます。この余白自体は建物の外形には含まれないため、家相で見る張り欠けの対象にはなりません。余白の使い方は庭と植栽の家相などの庭や植栽の観点で扱われることがあります。